2019年台風19号ハギビスの「カテゴリー6」報道がデマだらけな理由

      2021/01/03

今週末2019年10月12日(土)から13日(日)にかけ、非常に強い勢力を保ったまま関東への上陸が予想されている台風19号「ハギビス」ですが、
ヤフーニュースを見ていたところ、10/10(木) 16:25にスポニチアネックスから配信されたニュース記事に随分とセンセーショナルな単語が並んでいました。

以下に『地球史上最大級か? 台風19号の勢力に世界が注目 衛星写真に騒然(スポニチアネックス)』の記事をYahoo!ニュースから引用します。

  • 米国内の気象専門家からは「存在しない6に相当する」という意見も出始めている。
  • ワシントン・ポスト紙によれば、「ハギビス」は前日までの24時間で最大風速を45メートルも増やしており(現在65メートル)、この発達スピードは地球で発生したハリケーン、サイクロン、台風の中で史上最速の部類
  • あまりに急速に発達したため、最初にあった台風の目の周囲に“2つめの目”ができたことが確認されており、進路になっている日本にとっては脅威をもたらす存在になりそうだ。

いかにも不安を煽られる文言が多数ありますね。

しかし、どうもこのニュース記事、情報ソースの誤った解釈と誇張表現からくるデマ情報なのではないかという話があります。

今回はそんな2019年の台風19号「ハギビス」に関して、情報を整理していきたいと思います。


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台風19号(ハギビス)はカテゴリ1から2に相当

「存在しないカテゴリ6」なんていう恐ろしいキーワードに思わず冷静さを失ってしまいますが、どうもこの表現については故意に誤った誇張表現をしている可能性があります。

まず今回の台風「ハギビス」のカテゴリーについて言及しているAP通信の記事にはこのような記述があります。

Hagibis, which means speed in Filipino, had maximum sustained winds of up to 270 kilometers (168 miles) and stronger gusts at noon Thursday near Chichi island in the Pacific, about 1,000 kilometers (620 miles) off Tokyo’s southern coast. It was moving north at the speed of 20 kph (12 mph) and is expected to weaken over cooler waters as it nears Japan’s main island.

It’s the equivalent of a Category 5 hurricane.

出典:AP通信

翻訳すると以下の通り

フィリピンでの速度を意味するハギビスは、最大270キロメートル(168マイル)の風が持続し、木曜日の正午に太平洋の父島(東京の南海岸から約1,000キロメートル(620マイル))で突風が強くなりました。 20 km / h(12 mph)の速度で北上しており、日本の本島に近づくにつれて、より冷たい水で弱くなると予想されています。

太平洋上で勢力を増しながら時速20キロの速度で北上しており、現時点ではカテゴリー5の規模であることが書かれています。

しかしながら、記事中にもあるように日本に近づくにつれて、冷たい海水で弱くなることが予想されているんですね。

また、ワシントン・ポスト紙の台風19号に関するニュース記事を見てみると

It is too early to speculate on specific impacts to Tokyo, though the potential exists for a Category 1 or 2-equivalent typhoon to pass close to Japan’s most populous corridor.

出典:ワシントン・ポスト

東京への特定の影響を推測するのは時期尚早ですが、カテゴリ1または2に相当する台風が日本で最も人口の多い回廊の近くを通過する可能性があります。

と書かており、やはりこちらも上陸の勢力としてはカテゴリー1または2相当であると予想しています。


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台風の強さ(カテゴリー)

今回話題になっている台風の強さを表す「カテゴリー」とは、本来ハリケーンの強さを分類する際の米国基準の表現です。

各カテゴリー毎の区分は「サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール」の等級に準じています。

カテゴリー1 最大風速64-82ノット(時速119-153km)
カテゴリー2 最大風速83-95ノット(時速154-177km)
カテゴリー3 最大風速96-113ノット(時速178-209km)
カテゴリー4 最大風速114-135ノット(時速210-249km)
カテゴリー5 最大風速136ノット以上(時速250km以上)

となっています。(数値などの詳細はWikipedia参照)

2019年10月10日23時現在、米軍の台風予報では、関東上陸する時点での最大風速を85ノット、最大瞬間風速105ノットと報じています。
これを当てはめるとカテゴリー1または2が妥当であろうと判断できます。

もちろん、カテゴリー1や2だから安心なわけではありません。

各カテゴリーの破壊力や想定される被害については以下のように分類されています。

カテゴリー1

カテゴリー1のハリケーンは通常、十分に丈夫に建てられたほとんどの永続的な建造物に重大な構造上の被害をもたらすことはない。

しっかりと固定されていない移動式住宅はぐらついて倒れることがあり、植え込みや弱い樹木は根こそぎ引き抜かれたり折られたりする。粗末に取り付けられた屋根板や屋根瓦は吹き飛ばされることがある。

広い範囲で停電が発生し、時に数日間続くこともあるハリケーンとしては最も強度が小さい部類ではあるが、依然として広範な被害が出たり、生命が脅かされたりすることもある

カテゴリー2

カテゴリー2の強度のハリケーンは、しばしば屋根材に損害を与え、時に屋根を野ざらしにし、立て付けの悪いドアや窓に被害をもたらす。

粗末に設置された標識・看板や桟橋はかなりの被害を受け、多くの樹木が根こそぎ引き抜かれたり折られたりする。

移動式住宅は固定がしっかりしていようがいまいが、典型的に損傷を受けたり破壊されたりし、多くのプレハブ住宅も構造上の被害を受ける。

広い範囲からほぼ全域が停電に見舞われる。時折、飲料水が不足しやすくなり、その状態が何日も続く場合もある。

カテゴリー3

小規模の住宅や施設に何らかの構造上の損害を与え、特に、小さな欠陥のある非耐力壁をもつ、木造の骨組みや組み立て材料を使用した建物に被害をもたらす。

移動式住宅のように基礎の強固でない建造物は通常、破壊され、切妻壁の屋根は剥がされる。プレハブ住宅は通常、重度かつ修繕不可能な被害を受ける。

海岸近くでは、高潮による浸水によって小規模の建造物が破壊され、内陸の地域にあっても辺り一帯で洪水被害が出るおそれがある。

停電に見舞われ、数週間程度続くこともある。また、水道水が使えなくなったり、汚染されたりする。

カテゴリー4

カテゴリー4のハリケーンは、より広範囲にわたって非耐力壁を損壊させ、一部の小規模住宅を全壊させる傾向にある。

ガソリンスタンドの屋根や、その他の吊り下げられるタイプの建造物が、重度の修繕不可能な被害を受け、ほとんど完全に破壊されることがよくみられる。

移動式住宅や組み立て住宅は、ぺしゃんこにつぶれる場合がある。最も頑強なものを除き、ほとんどの樹木が根こそぎ引き抜かれたり折れたりし、多くの地域を孤立させる。

カテゴリー5

カテゴリー5は、サファ・シンプソン・スケールで最も等級の高いカテゴリーである。これらのハリケーンは多くの住宅および産業用建造物の屋根を全損させ、一部の小さな施設については全壊したり、建物ごと吹き飛ばされたりする。長さのある屋根や壁、特に内側に支えのないものの多くは崩壊することがよくみられる。

無傷で持ちこたえられる建造物がわずかにあるのみで、それに該当するのは、鉄骨やコンクリートで建造されたオフィスビル、分譲マンション、アパートおよびホテル、複数階建てのコンクリート製の立体駐車場、ならびに鉄筋レンガまたは鉄筋コンクリート/セメント製の住宅や、水平面から35度もの傾斜のついた寄棟造の屋根をもつ住宅、あらゆる種類の吊り下げられた屋根のない住宅、そして、耐ハリケーン設計の安全ガラスで作られたか、シャッターで覆われた窓である。これらの要件を全て満たしていない限り、建造物の全壊は不可避である

…カテゴリー5、本当にヤバすぎですね。

台風19号=カテゴリー6というガセネタの出どころ

スポニチ記事を見ていると、あたかも台風19号ハギビスがカテゴリー6に分類されるのでは?と勘違いしてしまいますが、これも誤った解釈によるものです。

カテゴリー6については先述のワシントン・ポストの記事中で以下のように説明されています。

Another study, published last year, found that with continued global warming, more tropical cyclones will undergo rapid intensification than had done so before. It also found, using a climate model capable of simulating these massive storms amid changing atmospheric and oceanic conditions, that future storms could be so intense that a new category — Category 6, might be required to describe their intensity.

昨年発行された別の研究では、地球温暖化が続くと、以前よりも多くの熱帯低気圧が急速に激化することがわかりました。
また、大気および海洋条件の変化の中でこれらの大規模な嵐をシミュレートできる気候モデルを使用して、将来の嵐が非常に激しくなる可能性があることを発見しました。

つまり、「今後、地球温暖化が続くと熱帯低気圧(台風)の成長が激化するからカテゴリー5だけじゃ足りないかもね」と言っているわけで、
ワシントン・ポストでは「台風19号=カテゴリー6」とは一切言及していません。

それでもスーパータイフーン!最大限の警戒を!

以上の理由により、今回の台風19号が決して「存在しないカテゴリー6」「2つの台風の目を持つ異常事態」などではないことが理解いただけたかと思います。

スポニチ記事の誇張表現が凄すぎて、予想も想像もできない恐ろしい未曽有の大災害が…!?と頭が真っ白になってしまいそうですが、あくまでニュースを書いた記者の方の曲解と誤解とミスリードが重なった結果なのでしょう。

ただ、多少の誇張表現があったとしても、台風19号が「Super Typhoon Hagibis」であることには間違いありません。

海外メディアの記事を見ていても、急速に発達した危険な【スーパータイフーン】である伝えています。

決して油断することのないよう、最大限の警戒と準備をもって、接近に備えていただきたいと思います。


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